ビジネス奮闘記

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2012年11月12日月曜日

ザ・チーム ~ウィリアム斎藤さんの本

久しぶりに本を読みました。ちょっとまたオセアニアから遠ざかりますが・・・いろいろと感じさせられた為、読書感想文的に書き留めておきたいと思います。

以前少しだけ起業支援の団体でお手伝いしていたことがあり、その際にずいぶんといろいろな方に出会いました。 MIT Enterprise Forum of Japan という、アメリカのMITの傘下になるNPOで、起業しようとしている人たちのアドバイス支援やビジネスプランコンテストを通じてメンタリングなどを行う活動です。テクノロジーやIT系が多い話題のところで、ちょっとこのあたりは得意ではないものの、こういう世界があるのか!?と思うほど、MIT出身者をはじめ、起業支援に情熱注ぐ方、または、よいアイデアをなんとか事業化しようと、奔走する人などなど・・・。自身もちょうどAOMを立ち上げる時期だったため、ビジネスプランについてなど多くの方にアドバイスを頂きました。

その際に知り合ったのがウィリアム斎藤さんでした。知り合う・・というのはおこがましいですが、彼は自称「プロフェッショナル・ボランティア」として多くの起業家支援に情熱を注いでおり、既に日本政府に対しても多くの委員会などに所属し、活躍していました。こんな方がいらっしゃるのか、ととても印象に残った人の一人です。日系2世として、若くして起業し、華やかなビジネスキャリアを積んだ後に、ルーツである日本の為に何かしよう、ということで、来日し、それから起業化支援をはじめとして、幅広く活躍している方です。彼の師匠である黒川清先生をいろいろなご縁から少し存じ上げていたこと、そして彼の母校であるUC Riversideにも学生時代少しお世話になった・・・という小さな共通点もあり、親近感をもってました。とても久しぶりにウェブを拝見したところ、最近本を書かれたことがわかり、さっそく読んでみた、ということです。 

ざっくりとは、彼の背景を存じ上げていましたが、あらためて「びっくり!」の連続でした。日系2世としての苦労も多かったと思いますが、そのご家族の背景、そして、ビジネスに関しては多くの失敗を繰り返した、と記述しているものの、その数々のビジネスや受賞した経歴は華やかであり、やはりこのIT関係にかかわる人はビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブス含めて強烈な「こだわり」と「オタク性」があるという感じもうけました。 追求するそのこだわりがあるからこそ、きっと強烈な発明などが起きるのではないかと思います。~でも、お会いした印象はユーモアのある方でとてもフレキシブルな方と感じています。

彼が医学部でUCLAに行ったことは存じ上げていましたが、卒業後、1日で医師をやめて、ビジネスの世界に進んだ・・・・という事も衝撃的でした。道は1つではない、ということを実感します。

今回の本は主に「チーム」をテーマとして、現在の日本に照らし合わせて、多くの警告を発信している内容になっています。これは、特に昨年の3.11を体験して以降、日本政府の委員会などを通じて痛感した実体験に基づき、現状への危機感、そしてこれからの日本について、多く語ってました。

先日、株式上場果たした日本航空の稲森氏も語っていましたが、今、日本は決定的にリーダー不足であるということ。 優秀な人たちは多いのに何かが欠けている、これは共通する見解のようです。 ウィリアムさんは特にその中で、「チームで動く」ということに焦点をしぼって語っていましたが、緊急事態や、非日常的な事情、そして予測できないことに対処する能力が日本人は非常に厳しい、ということ、これは、普段からチームで役割分担をし、問題解決をしていく、という訓練が非常に乏しい、ということのようです。 確かに、日本人は本当に「リスク」に対して、極度にアレルギーがあるかのようにも感じます。 これが、特に、政府レベルになるとますますそう感じざるを得ません。

起業もそうですが、「リスク」を受ける勇気や解決能力、そして、それに対してチャレンジする気持ちがなければ困難であるということ。 人は常に様々な決定を必要とされることがあり、このときに判断できるか否かが、キーになるかと思います。

また、今、日本企業は急速に海外進出を進める中で、(国内もそうですが)M&Aが進んでいます。しかし、ここで、日本はM(合併) はできてもA(吸収)が苦手、ということです。国内企業でも(特に銀行関係)よく聞いていますが、いまだ人事が分断されていたり、内部的な動きは「チーム」として機能するまでに非常に時間がかかるカルチャーでもあるかもしれません・・・(これは私もリーマンX野村で実感していますが・・・) 

日本人はしいて言えば非常に連帯感やグループで動くこと、そして協調することはは非常に好きな人種と思います。 ただし、これはイコール、ビジネスの上、政治の上において、うまく機能することばかりではなく、かえって、違う意見や前例がないことに対してのハードルの高さ、ディベートが発生しないがゆえに、よい道筋がみつけられないかもしれません。 

・・・彼の生い立ち~最後には日本への提言まで幅広い内容でしたが、、、かえって外から見るシャープな彼のコメントは日本をルーツに持ち、しかしながら、客観的な立場において冷静に日本の現状を分析するその姿は非常に興味深いものでした。

それにしてもかなりの驚きだったのは、彼が今までの数々のビジネスにおいて、ほとんどベンチャーキャピタリストからの支援を受けたことがない、ということ・・・。これには大変びっくりしました。ほぼジョークに感じますが「VISA CARD」からのキャッシングくらいしかない・・・とのこと。
通常起業するのに資金調達が最も大変な課題でもありますが、事業規模をみても非常に珍しいケースと思い、またまた彼のビジネスキャリアにはびっくりしました。

これからのご活躍もますます楽しみにしたいと思います。

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